tomoima525's blog

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ベイエリアロックダウン(自宅退避令)の74日を振り返る

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ベイエリアで自宅退避令(Shelter in Place)が発動されたのは3月17日のこと。それから6月1日までほとんどの長距離移動や経済活動は制限され、実質的にロックダウン状態だった。この特殊な状況は記録に値するかもしれないと考え Twitter で毎日 #ベイエリア封鎖 というタグで日常をツイートし続けていたので、今回そのタグを元に74日間を振り返りたいと思う。全てを追いたい方はこちらのリンクからたどれます。

ロックダウン前期 緊迫と疲弊

記録によると、3月16日にカウンティにおけるShelter in Placeが発令、それも即日0時から発動だった。かなり急だったのでひどく驚いたのと、これからどうなるんだろうという不安ばかりだった。
以下は日本領事館から来たメールの抜粋。

本16日,サンタクララ,サンフランシスコ,サンマテオ,アラメダ,コントラコスタ,マリン郡では,明17日午前0時から少なくとも4月7日まで不要不急の外出を除き自宅滞在を要請すること,必要不可欠な警察や消防又は食料品店や薬局等は開業すること,レストランをテイクアウトや配達に限定することなどを発表しました。

これ以外にも散歩はOKだがその他の移動の禁止、6ft距離を置くなどのルールが設けられた。Shelter in Placeが発令されてからの2週間ほどは町に緊張感が常にあった。当初は公園の遊具や公共の施設は利用可能だったけど、段階的に封鎖され、警察が見回りをするようになった。
そしてとにかく人がいなかった。サンマテオのダウンタウンは常に人が賑わっているイメージだったのに、お店は閉じていて、人通りもなく、ゴーストタウンのようになっていて本当にぞっとした。

このころはCOVID-19にまつわるさまざまな噂が飛び交っていた。その一つが"外出していたら警察につかまり$400の罰金をくらった"というもの。色々な派生パターンがあり、自分も含め結構な人がこの件について言及していたものの、実は全くのデマであることが後に判明*1。あー、こういう緊急事態だと不安から惑わされてしまうし、いつも必ず情報源は確認するべきだなと教訓を得た出来事だった。

COVID-19が流行し始めた直後、一時的にみんながパニック状態になりマスク、パスタなど日用品がかなり品薄になっていた。Shelter in Place後は逆に外出が減ったからかだいぶ安定してきていたものの、トイレットペーパーなど日用品は探すのが困難だった。

完全在宅勤務となったので、日々のルーティンを決めて粛々と過ごしていたものの、緊張した状況下のせいか知らず知らずのうちにストレスが溜まって、体調不良になったりしていた。今までは休日はよく車でレストランや離れた公園にでかけたり、人に会ったりしていたのだけど、それも全くなくなってしまった。

「出かけられるけど出かけない」のと「出かけられる所がない、出かけられない」は精神的に雲泥の差がある

ロックダウン中期 New Normalの模索と定着

ロックダウン生活も2週間をすぎるとだいぶ落ち着いてきた。とにかくトイレットペーパーがみつからず、この時期は毎日トイレットペーパーに関するツイートをしていた。

多くの不急の業務が在宅となった結果、さまざまなサービスがオンラインで受けられるようになった。たとえば娘の音楽クラスもシステムがあっという間に構築されてオンラインで受けられるようになった。オンライン化は重要だけど喫緊の課題ではない類のタスクなので、今回のような出来事でもないと変化が訪れるのはきっとだいぶ先だっただろうから、この状況は悪いことだけではないのかもしれない。


ベイエリアにおける人々の生活様式が大きく変わったとこの頃強く感じた。これまで病気のためにマスクを着用するなんてことはなかったのに、今では当たり前のようにマスクをつけるし(これは実際に法令で罰金されるからだけど)、殺菌消毒もみんな意識して行う様子が見られるようになった。

外出が減り人と会うことがなくなったためか、とにかく一週間が速くすぎるようになった。育児、仕事、家事とバタバタと過ごしていると、気づけば夕方みたいな毎日。通勤におけるコンテキストスイッチの切り替えは結構重要な要素だったのだなと気付かされた。

そして、当初の予定では5月1日で解除予定だったんだけど、予想通り一ヶ月延長。

ロックダウン後期 規制緩和/楽しみを探す

変化に乏しい日々を送っていると、楽しいことを探そうとするのが人間のさが。この時期一番の楽しみはミシュランの星のついたレストランのテイクアウトをトライしていくこと。
普段は高すぎて手も出せないような三ツ星レストランが比較的リーズナブルな値段でテイクアウトを提供し始めていることに気づいてしまったのだ。

ラテを毎日楽しむのも日課になった。サブスクリプションを契約したら全米の各地から個性あふれる豆が送られてきて、とても良い体験だった。COVID-19の影響で豆が入荷できず届かないというトラブルもあったけど。

そして娘は誕生日を迎えました。本当はお友達たくさん呼んでいっぱい祝ってあげたかったのだけど、今年はビデオ電話で我慢だね。

こんな状況下なのに(なので?)不動産がよく売れている様子だった。近所の高級住宅街を毎日散歩していたのだけど、いずれも2億円~の物件が数日で売れていた。ビッグテックカンパニーを中心にベイエリアスタートアップ界隈ははリモートワークを推進しており、その影響で家や賃貸の価格がだいぶ下がってきているから買い時ではある様子。うちのアパートも家賃が10%以上下がっていた。

そして段階的規制緩和が通達されたのが5月の中旬。みんな待ちきれないからか、特に公園やレジャーは多くの人がでかけていたみたい。雑貨屋さんなども次々に開きはじめた。

そうしてようやく、段階的な規制緩和が6/1から始まった。

そしてこれから

とにかく家族ともどもこの状況を健康に過ごせたことが本当によかった。しかし(6/20)現在COVID-19の収束に終わりは全く見えておらず、カリフォルニア州にいたっては規制緩和で感染者が増えている。この状況が続くようであれば、もしかすると二回目の Shelter in Place が発令されるかもしれない。ただアメリカは大統領選挙を控えどうしても経済活動を再開したいという思惑があるので、今後はスウェーデンなどのように感染者が出ても目をつぶるのかもしれない。

ミネアポリスの事件を発端とした Black Lives Matter 運動も依然として高い熱量があり、自分はまだ混沌の渦にいるのだと日々感じている。

*1:罰金はデマであると書いた記事 https://apnews.com/afs:Content:8700400221