「今って一日どう過ごしてるんですか?」「小さい子供いながら起業って大変じゃないですか?」 ってたまに聞かれるので、平日の朝から晩までの様子を書いてみる。
答えから言うと、”気を張らずロングランでやっていく”スタンスをとることでなんとかなる(なんとかしている?)んじゃないかなと思う。この記事が起業やら外国で働くことを検討している人の参考になれば幸いです。
こんな人でこんなことをしている
イメージしやすいかなと思って一応書いてみる。
- 2021年にスタートアップをサンフランシスコで立ち上げ*1
- ブロックチェーンを使った給与支払いやコンプライアンスなどHRサービス https://www.noxx.xyz/ を開発している。最近はAIを活用した人材採用にフォーカスしている(近日ローンチ予定です )
- メンバーはグローバルにいる(英語だとdistributed teamといいます)。HQはサンフランシスコで、リモート+オフィス勤務のハイブリッド形態。
- 2016年頃にメルカリUS立ち上げに伴って米国に移住。その後SNS系のスタートアップでソフトウェアエンジニアとして働いてた。
- 4人家族。4歳の娘と0歳の息子がいる。サンフランシスコ湾に面した、シリコンバレーのベッドタウンみたいなところに住んでいる。最寄りのスーパーは徒歩30分、動物があちらこちらにいるようなのどかな場所。
Foster Cityはは田舎だけど水が沢山あって綺麗な町だ。ずっと向こうに見えるのは元OracleのHQ pic.twitter.com/MGtSbjicPD
— Tomoaki Imai (@tomoaki_imai) April 1, 2022
朝~午前
朝は6時 - 6時半に起きる。この地域は年に2回タイムゾーンが1時間シフトするので、起床時間を調整しないと外は真っ暗。
マラソンが趣味で、週6回走っている。距離はまちまちだけど、近々あるレースに向けて今は月200-240km位を目標にしている。家のすぐ近くに、サンフランシスコ湾に沿ったトレイルがあり、だいたいそこをぐるっと走ってくる。ちなみにシリコンバレーはその名の通り谷なので、そこらじゅうに山やトレイルがあり、ハイキングや自転車ツーリングが多くの人の休日アクティビティになっている。
ランニングから帰ってきたら、家族もちょうど起きて、朝の忙しい時間が始まる。
子どもたちの朝ごはんの準備やお弁当、お着替え、幼稚園の準備、送ったりなどなど。家事分担は日によりけり、夫婦お互い ”朝を乗り切る” という共通のゴールがあるので、できることをする。1年くらい前から16時間ファスティングをしていて、朝は食べないことが多い。ファスティングが良いかは人によると思うけど(自分は調子が良いです)、副次的な効果として朝にゆとりができるのでおすすめです。
これ。ここ数ヶ月16時間fasting (19時以降次の日昼まで食べない)と寝る前に30-40分腹式呼吸でストレッチしてるけど、ストレッチ前までコード書いてる割にはよく眠れている気がする。あとトイレに行くサイクルがものすごい安定した https://t.co/I8uadCh9vV
— Tomoaki Imai (@tomoaki_imai) November 25, 2022
今は週3回くらい出社し、あとは在宅で仕事をしている。オフィスはサンフランシスコにあるので、カルトレインというシリコンバレーを横断する列車と自転車を乗り継いでオフィスに行く。
列車(電車じゃなくてディーゼル車!)は本数は少ないものの、広々としていて、必ず座れるので快適。自転車専用のレーンもある。25-40分の乗車時間*2なので、ちょっと仕事するにはちょうどよい。
ちなみにこの列車、日本の会社が作ったものらしいです。
オフィス
オフィスはサンフランシスコ駅から自転車で15分くらい。元々オフィスを借りていたんだけど、つい最近、AI系のスタートアップが集まるコワーキングスペースに引っ越しした。
OpenAI本社を中心に、多くのAI系スタートアップやクリエイターが集まるサンフランシスコ市ミッション/ヘイズ地区はCerebral Valleyと呼ばれている。このコワーキングスペースもちょうどその地域に位置している。オーナーが入居者同士の交流を推奨しており、デモデイなども頻繁に開催されている。
毎週金曜日のランチタイムには有志によるAI関係の輪読会がある。各自興味を持った論文を持ち寄り、その内容について議論する。各ドメインの最新論文について知ることができ、めちゃくちゃ刺激を受ける。
ちなみに、論文は https://elicit.com/ https://www.emergentmind.com/ といったサイトで探すらしい。
仕事
仕事はポモドーロを実践している。その日のタスクをリストアップし、25分集中+5分のセットでこなしていく。5分の間にメッセージの返事をしたり、軽く運動するようにしている。時間は気を許すとすぐ人間を支配してくるので、意識してコントールするようにしている。午前中の方がMP(いわゆる精神力)があるので、気が重いタスクから片付けていく。
小さなスタートアップなので、たくさんの帽子をかぶっている。CTOという役職ながらプロダクト全般に関わっている。プロダクトの仕様を書いたり、デザインを外注したり、タスクに落としたり、ロードマップ策定、プロジェクト進捗管理、技術検証、設計、開発、チームメンバーのマネジメント、日々のプロダクトオペレーション、ユーザーインタビュー、などなど…。ファウンダーになる醍醐味だよな〜と思いつつも、早くプロダクトを伸ばしてメンバーを採用し、役割を移譲したいなという気持ちもある。
ちなみに、プロダクトマネジメントに関しては完全に門外漢なので、書籍を読み漁ったり、尊敬するプロダクトマネジャーたちならどうやって決めるかな…などと日々試行錯誤している。日本語の本だと"プロダクトマネジメントのすべて"はとても参考にしました。
ちょっと前に読んで良かったのはMom Testというユーザーインタビューのガイド。
仕様や設計を書くのとコーディングの割合は 7:3 くらいだろか…よく気にしているのは、技術的な観点でプロダクトの仕様が引っ張られないようにすること。なので、仕様を検討したり書いたりする時間とコードを書く時間は明確に分けて頭を切り替えている。
昼 ~ 午後
お昼はお弁当を持参している。やっぱりおうちのご飯が一番! あと、外食すると毎回$20くらいかかるので、倹約したいというのもある。
奥さんに世界一のお弁当を作ってもらうこともあれば、自分で適当に放り込んでくるときもある。弁当箱はまげわっぱを使っている。これ、THEジャパニーズベントーって感じらしく、オープンスペースで食べていると色んな人に話しかけられる。
オフィスにいるときは、CEOと食べることが多い。トピックは日々の雑談やら、事業戦略の話やら。リモートワークも良いけど、カジュアルな雑談や相談はやっぱり対面がよいですね。
娘の幼稚園が終わるのがPM2時半-PM3時の間(曜日ごとに日本語/モンテッソーリの幼稚園に行っているので、日によって異なる)なので、在宅で仕事しているときは、迎えに行くときもある。極力それまでにその日のタスクの大半をこなすことを目標にしている。
平日の日中は奥さんが家で自分の仕事や家事もこなしつつ、赤ちゃんや娘の面倒をみてくれるおかげ(奥さんのタスク処理速度は尋常じゃないです)で、なんとか回っていると言う感じ。この辺だと24時間でベビーシッターを雇っている家庭の話もよく聞く。
リモートチーム
ひとりのメンバーがアジアにいるので、そちらが朝になるPM3時すぎに毎日チームでスタンドアップをしていて、その日の進捗やブロッカーなどについて話す。その後は1 on 1したり、コミュニケーションに時間をあてる。
リモートチームなので、非同期コミュニケーションを充実させることを大事にしている。例えば、
など。”伝える側が手を抜くと、受け取る側が苦労する”というのは、リーダーシップとして情報を発信する機会が多い立場として、常に肝に銘じようにしている。
夜
オフィスに来ているときはだいたいPM 4 時頃に引き上げて、帰りの電車でもうちょっと仕事をしたのち、5時ごろに家につく。
PM 5 - 9 時は家族時間と決めている。子どもたちと遊んだり、晩ごはん作ったり、洗い物したり、お風呂にいれたりドタバタしているとあっという間。ここも朝と同様、家事分担は日によりけりだけど、片方がご飯を作ったら片付けはもう片方がやる、という不文律がある。
シリコンバレーには日本のような仕事後の飲み会文化というのがないので、夜出歩くことはまずない。友達と軽く飲んだり、ミートアップがあるにしても、PM 5 時スタート、PM 7 時解散といった具合だ。
こうやって毎日夕飯を家族みんなで食べられるというのは、この地ならではのライフスタイルというか、とても幸福度が高いことだと思う。
PM 8-9 時のあいだに子どもたちを寝かしつけて、PM 9 時から再び仕事に戻る。この時間にはもうMPが枯渇しているので、軽めのタスクだったり、PM 5 - 9 時の間にアジアの方から飛んできたメッセージやプルリクエストのレビューをしたりする。アジア方面の人たちとミーティングするのもこの時間帯だ。
PM10時半ごろには切り上げて、寝る前にストレッチをする。開脚を180度できるようになりたいと思ってもう2年くらいやってるけど、一向にそうなる気配はないです。それはともかく、ストレッチするとよく眠れるのでおすすめです (や、実際は0才児がたまに夜泣きするので、そうはいかないことも…)
こんな感じで一日を過ごしています。
日々思うこと
スタートアップ運営はマラソンみたいなもんで、いかにバテずにパフォーマンスを出し続けるかが重要なのかな、と思う。
会社を立ち上げた当初、年末から40日ほど一日も休まず働き続けたら、一気にバーンアウトして、調子が戻るのに結構時間がかかった。なので、最近は土日もなるべく仕事はせずに意識して休むようにしている(とは言えいつもそうはいかないのが駆け出しスタートアップの常なのだけど)
ここ数年の変化として感じるのは、子供が生まれた分、可処分時間は減ったけど、以前より効率よくものごとを回せるようになったことだろうか。英語に関してもそうで、生活や仕事ができるようにライティングやスピーキングは必死こいてなんとか修練してきた感じはある。制約があるくらいが、なんとかしようという気概が働くのかも?
冒頭でも書いた通り、いつまでも気を張るような生活はつづかないので、もし外国で働きたい、とか起業したい、と思うなら、無理をしすぎないプランというのも頭の片隅にあったほうがよいのかもしれないです。