tomoima525's blog

Androidとか技術とかその他気になったことを書いているブログ。世界の秘密はカレーの中にある!サンフランシスコから発信中。

MCP Night 参加レポート 〜Model Context Protocolのガチ最先端2025夏〜

先日、WorkOS 主催のMCP(Model Context Protocol) Night 2.0に参加しました。
2回目の開催となるこのイベント、前回は数百人規模でしたが、今回は登録者1,900人超え。会場はサンフランシスコでのライブイベントなどでも使われるLegendary Ballroomで、席は満席でした。今回のイベントではCursorなど有名企業でのMCPのデモや、OpenAIやAnthropicのPdMを呼んでのセッションがありました。MCPのガチ最先端を知ることができたのでシェアします。

ちなみにWorkOSはエンタープライズ向けのOAuthなどの認証サービスで、MCPの認証に使えるAuth SDKも開発してます。その流れで今回のイベントも開催してます。OpenAIやCursorの裏側ではWorkOSが動いているって話です。

話しているのがCEO

デモセッション

1. xmcp

一発目に紹介されたのはxmcpというMCP向けTypeScriptフレームワーク。Node.jsベースなので、Edge functionとしてVercelなどの環境にデプロイでき、リモートMCPサーバーを簡単に構築できます。


xmcp: https://xmcp.dev

2. mcpui

次はMCPでUIを構築するmcp-ui。MCPにUIプロトコルレイヤーを構築することで、サーバーから送られたコンポーネントレンダリングできるようになります。
デモでは商品の購入フローをGoose(オープンソースのAI Agent https://block.github.io/goose/)で完結するエージェントを紹介してました。今までのエージェントからブラウザを開いて何かをして...、というフローから、全てがチャット画面でインタラクティブに完結する体験はめちゃ良さそうです。Shopifyも全面採用予定な上に、MCPの規格としても正式採用されるそうです。

mcp-ui: https://mcpui.dev

3. Square

続いては、そのGooseを開発しているフィンテックBlockからのデモ。早くからMCPの開発をしていたBlockでは200以上あるAPIエンドポイントをMCPでどう管理するかという課題があったそうです。APIの管理を「Discovery → Planning → Execution」の3ステップで整理。これにより1つのMCPサーバーで全エンドポイントを管理できるようになったとのこと。今後複雑なツーリングを扱う上で結構重要なアイデアなんじゃないかなと思いました。


4. Microsoft VS Codeチーム

続いてMicrosoftVS Codeチームは、MCP開発の課題をVS Codeでどう解決したかを紹介。実はVSCodeかなりいろんな機能が追加されていて、

などデモしてました。CursorなどAIエディタに押される中、VS CodeがここまでMCPに注力しているのは意外でした。

5. Notion MCP

Notion MCPの事例では、Notionに書いた仕様書を読み取ってエージェントがコードを書くデモがありました。当初リリースしたバージョンはNotionのテーブルデータ構造のJSONが巨大でトークン制限にすぐ達する課題などがあり、ユーザーフィードバックを受けて数か月でv2をスクラッチ開発。スピード感すごい。開発にはAnthropic MCP SDKとCloudflare OAuthを利用していました(そこWorkOSやないんか...)。


Notion MCP: https://developers.notion.com/docs/mcp

6. Cursor

最後はCursorの事例。
最も利用されているMCPツール Context7は、ライブラリのドキュメントから必要情報をエージェントのコード実装時に参照できます。

Context7: https://context7.com/


トークセッション

最後はOpenAIとAnthropicのPdMによるトークセッション。(OpenAIとかのゲストをホイホイ呼べちゃうのがベイエリアらしい...)

各社ともエージェント開発をかなり念頭にいれている雰囲気を感じました。
また、今のMCPにおける空白部分は、という問いに対して、どちらも口を揃えて"セキュリティ"と話していました。意図しないセキュリティ情報の漏洩を阻止することやトークンをMCPに直貼りするユーザー体験など、早急に改善が急がれる分野だ、といった具合です。

将来的な展望として、ロングランニングタスクをMCPに任せられる機能がほしいよね、という話もありました。最近Coding Agentがサブスクリプションモデルから課金モデルに移行しつつあるのもその布石なのかな...?

現在WorkOSで動くMCPサーバーは5,000以上。が、Anthropic PdMからは「もっと本番運用に耐える便利なMCPが作られるべきだ」という話もあり、まだまだ発展途上な領域なんだなとあらためて思いました。


今回のMCP Nightは、MCPの最新動向を知るだけでなく、実際の活用事例や開発ノウハウを間近で感じられる非常に刺激的な場でした。会場の熱量もすごかった。

しかしセッション中、何度も"もう数年前のような気がするけど実は3か月前"みたいな発言があったんですが、ほんとに、この領域、めちゃ変化が速い...!