ここ数ヶ月、ラテ作りにハマっている。COVID19の影響で完全在宅勤務になった2月からは毎日1-2杯は入れている。
使っているエスプレッソマシンはRancilioのSilviaという、いわゆる業務用モデルである。
ラテ好きで、コーヒーショップでよく飲んでいる人なら、導入することでQoLが間違いなく向上する。 なんせお店レベルのラテが自宅で自分好みに作れてしまうのである。気になりませんか?? 今回はちょっとでも気になった人に前のめりでエスプレッソマシンの種類や選び方について書きます。
家庭用と業務用エスプレッソマシンはどうちがうのが
まず、重要なのは、エントリーモデルでもよいから業務用のマシンを買うべきことだ。間違っても「初めてだから…」という理由で1-2万円の家庭用なんか買ってはいけない。 その考えは今ここで悔い改めてほしい。すぐに本格的なマシンを買いたくなる。何を隠そう自分も元々デロンギの家庭用ラテマシンを使っていたのだが、ラテ作りに超えられない壁を見つけてしまい、乗り換えてしまった奴である。
家庭用と業務用の違いはというと、大きく2つある。
規格
まずコーヒー豆をいれるカップが違う。家庭用は口径50mm程度なのに対し、業務用は58mm。家庭用は圧力不足をカバーするために小さい口径になっている。またコスト面からプラスチック製であることが多い。一方業務用では重厚な金属製で、熱伝導率が高く、高い温度と圧力を保ったまま抽出できる。これがクレマ(コーヒーの泡)や味の差につながるわけである。
ミルクスチーマーの性能も業務用はより高性能だ。家庭用だと気圧不足などをおぎなうためにカバーや泡立てアダプターなどがついていたりするが、業務用はむき出しの金属バルブで、短時間で濡れた白ペンキのようなフォームドミルクが作れる。
品質
マシンが連続使用にも耐えうる品質である。
例えば一度にボイラーで温められる水量が家庭用よりはるかに多く、ボイラーが2つ備わった機種は抽出とフォームドミルクが両方同時にできたりする。また業務用だとほとんどの場合3方向バルブというエスプレッソ抽出時に余分な水分を逃がす機構がついているので、抽出後のカップに残った豆が乾燥していてさっと捨てられ、手入れも簡単なのである。
では家庭用と業務用を比較して体感的に違いがあるかと言われると、もうこれは全然違う。
学生時代、吹奏楽団に在籍する友人がウン十万もする楽器を買っていた。エントリーモデルと何が違うのか聞くと、
「良いものは頑張らなくても高みに連れて行ってくれる」
と即答してくれた。その時はほへ〜とか気のない相槌をうってしまったけど、今ならわかる。つまりそういうことだ。(こっちはたかだか10万円位の機種だけども)
実際、適切な量の豆(ラテならダブルショットで14g)で程よい圧のタンパリング(カップに重りを載せて空気を抜く作業)をすれば、26秒で分厚いクレマのエスプレッソができる。同じようにやっても家庭用だとこうはいかない。比較画像がこれだ↓
ほとんど差がない? いやいや、クレマの立ちが違うから、キワがキレイにでているでしょう…。
ちなみに家庭用でも業務用を超える値段の高級機種はある。例えばBrevilleが出しているマシンは$1000(10万円)を超えるものもある。ただしこれはグラインダーやコンピュータによる制御装置(エスプレッソ以外の飲み物も作れる)がついているためで、ボイラーや圧力機構はやはり業務用のほうが良いと思う。
業務用の違い
さて、晴れて業務用エスプレッソマシンを買おうと決断し、物色しはじめると、その種類と値段のレンジに驚くかと思う。英語で "espresso machine commercial" なんて検索すると、無限に機種が出てくる。高いものだと$20000(200万円)以上するものなんかもちらほら。何が価格に大きく影響するかというと、主にボイラーの作りだ。
一番リーズナブルなのは、シングルボイラー型で、ひとつのボイラーでエスプレッソ抽出とミルクスチーミングの両方を行うタイプ。これは順番にしかできない。
次に熱交換器型で、ボイラーでスチーマーとエスプレッソ抽出のパイプラインを温めるタイプ。機構が複雑だけど、温め時間を短縮できる。
そして最後にデュアルボイラー型。スチーマーとエスプレッソ抽出で別ボイラーをつなぐので、同時に利用が可能なタイプだ。
その他の値段を分けるポイントとしては、いくつ並行して抽出できるか、細かい気圧調節ができるか、ボイラーのサイズ、素材、ブランド、など。
デュアルボイラー型はコーヒーショップなど1日中ずっと使い続けるような用途で、数人程度のオフィスや家で使う場合は、シングルボイラー型か熱交換型のどちらかしかないと思う。
↓のサイトにはいろんな種類のエスプレッソマシンが見られる。
どうやって選ぶか
選ぶにあたってはまずは要件を書き出してみると良い。
- ラテを飲む頻度(回数、何人が飲むか)
- マシンの大きさ
- スタートアップ時間(起動してから淹れられるまでの時間。温め時間)
- クレマへのこだわり
- 見た目、価格などその他のこだわり
例えば自分の場合、
- 1日1,2回。主に自分用、たまに奥さんと一緒に
- 奥行き11inch以内じゃないと置けない
- スタートアップ時間は気長に待てる
- クレマはある程度立てばOK
- ボイラーはアルミじゃないやつ
と行った具合だ。クレマにこだわりたい場合は、気圧計がついている方がよい。気圧計はクレマを立たせるために、豆の粒度の調整やタンパリングの強度などを細かく見るのに使える。
うちではたまに2杯いれるので、一度のボイルで足りるようなボイラー容量が欲しく、サイズの要件は厳密だったので、それを基準に価格とにらめっこして選んだ結果、RancilioのSilviaになった。
まとめ:そしてコーヒー沼へ
業務用エスプレッソマシンを買ったことで、ラテを淹れること、飲むことがますます好きになった。
エスプレッソは奥が深い。例えばタンパリングひとつとっても、強度によって味わいですが全然変わる。強く押しすぎると渋くなるし、弱いとクレマが立たない薄いコーヒーになる。
一番大事なのは豆。豆の種類や煎り具合で香りも風味も全然変わる。豆のグラインドでクレマの立ち方や味わいも変わるので、淹れるたびに毎回違う結果になる。
気が遠くなる位久しぶりにRitual coffeeに行ったら、春の新ブレンドだよ!と店員さんにお勧めされたので買いました。まろやかだけどフルーツぽい風味もあり春らしさを感じました。Eureka! pic.twitter.com/IpEaNeyuhD
— Tomoaki Imai (@tomoaki_imai) April 17, 2020
豆についてはこの本がめちゃ勉強になった。
ラテアートも楽しい。フォーム作りに失敗して、全然うまくいかない日もある。
最初はラテアートを作りたくて試行錯誤していたけど、最近はいろんな種類の豆を試して味の変化を知りたい欲望が強い。コーヒー沼はいい香りがして心地が良いので、ぜひともみんな踏み入れて溺れたらよいと思う。
お題「#おうち時間」