アメリカ西海岸に移住して2年がたった
アメリカのベイエリアに移住して2年がたってしまいました。タイトルはベイエリアよりもキャッチーかなと思って"西海岸"にしました。ちょっとした節目であるので、環境や心境の変化などをつらつらと書きとめておこうと思います。
仕事
去年は会社のアプリをフルスクラッチで書き直すというプロジェクトがあり、業務ではずっとそれにかかりきりでした。一からアプリを作るという経験はそうそう得られるものではないので、失敗や苦労も含めてとてもよい経験でした。
開発については自由に取り組む機会があったので主として取り組んだAndroidだけでなくReactNative(Javascript), Go, Swiftなど色々なプラットフォーム、言語でコードを書きました。
多様な開発に携わるメリットとしては、その言語やプラットフォーム、フレームワークにおける思想を身につけられることでしょうか。たとえばReact Nativeに触れてアトミックデザインの考え方を学んだりといったことです。Reactのロゴが原子なのも納得ですね。この一年を通してモバイル・アプリケーション設計に関する視座が少し高くなった気がします。
会社としては、日本からエンジニアやプロデューサーを送り込む方針からローカル採用に舵を切るという変化がありました。現在は日本人がUSオフィス全体の20%位ですかね。
それにともなってチームのコミュニケーションは日本人同士だろうと100%英語になりました。当初は日本人同士で英語を話すことに気恥ずかしさがあったのですが、今となってはオフィス内では日本語を話すことに抵抗がある程度には慣れました。
あとは、会社の方針として赴任2年で日本の会社に戻るかそのまま転籍して留まるか選択する必要がありました。
転籍すると会社から家賃や税金の補助を受けられなくなる一方で給与はアメリカ水準になります。金銭やキャリア、今後の生活も含めて検討し、奥さんにも相談して最終的に転籍を決めました。
12月末に日本の会社には退職届を書き、アメリカの会社の社員になりました。
私生活
バークレーからサンフランシスコに引っ越しました。理由は奥さんが語学学校に通いやすいのと、都会暮らしもちょっと興味があったからです。 この結果家賃が$1000以上上がってしまったのですが、便利な生活のためにはやむなし。海に近いミッション・ベイという地区のアパートに住んでいるので、ランニングが楽しいです。
毎日7時には家に着き、夫婦で今日の出来事を話しつつ夕飯を食べ(多くの場合奥さんがすごい手の込んだ栄養満点の料理を作ってくれますが自分もたまには作ります)、22-23時頃には寝て6-7時には起きるような生活です。
子供ができたらまた生活サイクルは変わるんだろうなと思ってます。
和風も
洋風も
奥さんが会社にもたせてくれるお弁当
アメリカ生活におけるここ一年での一番衝撃的な出来事は、165日熟成肉を食べたことですかね。これは完全に自分の脳の構造を変えてしまった気がします。 家の近くの肉屋さんで、限定販売で売っていました。21日熟成肉なら食べたことがあったのですが、165日はなかなかお目にかからないので、ものは試しにと思い購入してみました。1ポンド(450g)$60くらい。
家にあるスキレットで焼いて食べました。
まず香りが良いです。燻製したかのようなくるみに近い香り。そして旨味。強烈な旨味成分が脳みそを殴打しました。この一撃で脳内に旨味->ドーパミンの直通道路が形成されてしまったようです。何を食べてもまず"この食べ物に旨味はあるか?"を問いかけるようになってしまいました。
アメリカに来たら食べるものとしてプライムリブ(ローストビーフの分厚いやつ)を推す人もいますが、自分は赤身肉、熟成肉を推したいです。本当にうまい肉は噛み締めた時の旨味が違う。そして脂身が少ないのでするすると食べることができます。
熟成肉はサンフランシスコであれば Alexander's steak houseなどで食すことができます。21-45日熟成が一般的なようです。ぜひ食べてみて欲しいです。
なおこのお肉屋さんはさらに200日、300日熟成肉というのもありました。いつか試してみたい。
週末はランニングしたり、たまに車を借りて(ベイエリアはZipcarやGetaroundといったカーシェアが充実しています)ドライブにでかけたり、ベイエリア近辺に住んでいる日本人のエンジニアで集まってもくもくしたりして過ごしています。
いつメン
サンフランシスコの生活で特に気に入っている点としては、情報チャネルが日本にいるときよりも絞られていることでしょうか。日本にいたら気にしただろう出来事に悩まされたりすることが少ないのかなと思います。
あとは天気。サンフランシスコは乾燥していて、昼は適度に涼しく、いつまでも日本の晩秋のような空気なのです。
なんとかならんかなと思うのが、ここに住む人全員が言う、生活費が高いところですね。日本のように安くても質が高いというのは本当にすごいことです。
英語
元々"英語はエンジニアであれば最低限できれば良い"というスタンスだったのですが、今は"エンジニアの実力を100%出すには英語はめちゃ大事"というスタンスになりました。
やっぱり、開発も結局はコミュニケーションなのです。より良いものをチームとして生み出すためには、時には議論をして自分の意見をしっかり相手に伝えられるべきだし、相手の話も理解できないといけない。
せっかく良いプロダクトを作る能力があったとしても、その力を活かすためにはコミュニケーションが必要で、アメリカで働く以上コミュニケーションツールである英語は必須ということです。
というわけで、最近はもっぱら英語でアウトプットすることを心がけています。
技術関連の記事はMediumで書き、日本語に訳したものをはてなに上げたりします。英語は難易度高いことは書けないので、英語->日本語は文章のロジックや表現が簡潔になることが見るからにわかります。
しばらく前から英語圏での技術ブログは多くがMediumで発信されています。当然英語圏の読者も多いので、今から英語で発信したい人はMediumがおすすめです。書いた後は必ず関連するタグ(#AndroidDev
など)をつけてツイートするようにすると、英語圏のその技術界隈の人に拾ってもらってフィードバックをもらえたりします。
自分の記事もAndroid記事を集めるProAndroidDevでとりあげてもらったり、RxJavaの記事を書いた際はプロジェクトオーナーのDavid Karnok氏からフィードバックをもらったりしました。
英語で文章を書く時に、文法や語法の自信がありませんでした。その点についてネイティブの友人や同僚に相談したところ、誰からも "多くの国の人が英語を使っているから文法が間違っていても皆理解してくれるよ(Everybody understands you)" と言われました。
英語は多くの英語圏外の人が使う前提なので、文法や表現に対する許容度は他の言語よりも高いのかもしれないな、と気づき、そこからは気張らずに書けるようになりました。
今年はブログだけでなくアメリカ国内かユーロ圏のカンファレンス登壇を目指す所存です。
実は去年ユーロ圏とアメリカ国内のカンファレンスにそれぞれCFPを出したものの見事散ったので若干意気消沈していたのですが、去年7つ登壇したあるアメリカのエンジニアが9つ通らなかったとツイートしていたのを見かけて、全然努力足らんやんと思い知ったのでまたネタを仕込んでいきます。
まとめ
つらつらと振り返ったりこれからのことを書いてみました。とにかく熟成肉は美味しいです。これだけは食べて欲しいです。また技術や英語の話を書いていくので、引き続きよろしくお願いします!