tomoima525's blog

Androidとか技術とかその他気になったことを書いているブログ。世界の秘密はカレーの中にある!サンフランシスコから発信中。

読んだ本、観た映画 2020年 1月

通勤時間や息抜きにそこそこ本を読んだり映画を観ているのに、心の中やノートに感想を留めておくのはもったいないなと思い、ブログに毎月記録することにした。最近の関心はマネジメントやエンジニアのチーム作りなので、それに関連した本を何冊か読んだ。というわけで2020年 1月読んだ本と見た映画です。

読んだ本

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートし、30 代前半でアーリーリタイアした著者のキャリアサバイバル論的一冊。
アーリーリタイアという言葉に惹かれて手にとってみた。以下の言葉にはっとしてしまう人は、ぜひ読んで見てほしい。

キャリアの出発点に立ったソフトウェア開発者の大半は、いくつかの大きな誤りを犯している。そのなかで群を抜いて大きい最大の誤りは、ソフトウェア開発のキャリアを事業(ビジネス)として扱っていないことだ。 (中略)自分のことを事業者だと考えるようになると、自分という事業のために優れた判断を下せるようになる。自分自身の業績とはあまり関係のない「いつもの給料」をもらうことに慣れてしまうと、自分は会社の従業員に過ぎないというマインドセットに簡単に染まってしまう。

ジョン・ソンメズ. SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル (Japanese Edition) (Kindle Locations 385-387). Kindle Edition.

そう、ソフトウェアエンジニアは傭兵みたいなものなのだ。いつだって自分の武器や技能、交渉術や世渡り術を磨いていかないといけない。

個人的には第 4 部の生産性の向上はとても有用だった。

ひとつ具体例を出すと、今までポモドーロを集中管理のツールとしてしか捉えていなかったのだけど、本書でポモドーロは生産性管理のツールなのだと理解した。

自分はだいたい一日 6-8 のポモドーロを消化する。それ以下であれば本来の生産性より下回っているし、それ以上なら少々セーブしても OK ということだ。特に在宅で育児しながらだと自分の勤務時間があいまいになるので、この考え方の転換は非常に重要だった。

やりたいと思ったことができていないのに、目標のポモドーロ数を確保できた場合、問題は十分に仕事ができていないことではなく、優先順位づけが正しくないことだとわかる。

あと、アメリカの IT 企業に就職するためのノウハウは至極まっとうなことが書かれているので、海外で働きたいという人は読んで損はなさそう。 ただし一言事加えておくと、アメリカでの就職の場合、非アメリカ人にはビザという高い壁があります。

後半の不動産投資や株式投資は知識として知っておくのはよいことかも。不動産については日本とアメリカでは全然事情が異なるので、あまり参考にはならないかもです。

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

以前"読みながら何度も泣いた"というどこかの起業家のツイートを見て購入したものの、積ん読になっていた本。シリコンバレーのスタートアップで働く身として読んでおこうかと思い、手にとった。

2000 年の IT バブルのさなかにソフトウェアスタートアップを立ち上げ、バブル崩壊後の苦難を乗り越え最終的に HP に会社を売却するまでの話と、そこで得られた様々な問題に対処する術についての2つのパートで構成されている。

前半はドットコムバブルの狂騒で急拡大する会社、そして迎える大暴落、明日もない状況とドラマティックな出来事が次々と起こってまるで小説を読んでいるかのよう。小説だと思えば楽しい。自分の身に起きたら地獄。サバイバルするための至言がそこかしこにある。

たとえつらくても、正しい製品をつくる知識を得るためにもっと広い市場に出る必要があった。逆説的ではあるが、その唯一の方法は、間違った製品でもいいからまず売ってみることだった。 無残に失敗する危険はあるが、生き残りに必要なことをいち早く学べるはずだ

ベン ホロウィッツ. HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか (Japanese Edition) (Kindle Locations 931-933). Kindle Edition.

後半は CEO として事業を継続するためのノウハウが 4 つの章に渡って述べられている。CEO はこうやって難しい問題(4章.親友を降格させるとか)に対処するのかーと、過去スタートアップ界隈で自分が見てきた出来事を思い出す。
会社員の立場としてはどこを読んでおけばよいだろうか。5 章 人、製品、利益を大切にする──この順番では経営者が人を採用/教育する/品質を向上する方法論について述べられている。ここを読むとスタートアップが持続的なサービス/プロダクトを作り続けることのヒントになると思った。 6 章 事業継続に必須な要素 は会社をスケールさせるために必要な企業文化の作り方が示されている。

長年にわたって口やかましく支出を検査し、浪費した者を見つけるたびに雷を落とす代わりに、ベゾスは驚くほどシンプルな手法で「質素」という企業文化を一気に打ち立てた。ベゾスはホームセンターからドアを買ってこさせ、脚を釘付けにしてデスクをつくらせた。(中略)「なぜこんなことをするんですか」と驚いて尋ねると、「われわれは最低のコストで最高のサービスを提供するためにあらゆる機会をとらえて1セントでも節約しなければならないからだ」という答えが必ず返ってくる。ドアでできたデスクで仕事をすることが耐えられない社員は、遠からず辞めていくことになる。

例えば、こんな簡単な形でもスタートアップの文化の作り方ができるんだなーと思った。

HIGH OUTPUT MANAGEMENT

HARD THINGS ベン ホロウィッツ の師匠が書いた、チームで結果を出すためのマネジメントについて書いた本。著者は元インテルの CEO で、苦境だったメモリ事業からマイクロプロセッサ事業に転換しインテルを王者として復活させた立役者である。HARD THINGS で"HIGH OUTPUT MANAGMENT ではワンオンワンについて一章が割かれている"と書いてあり、興味を持ったので読んでみた。

本書自体は、あるサービスが構築されるために組織や経営管理 がどのような意味を持つか(1 部)、マネジャーの役割(2 部)、組織をどう形作るか(3 部)、メンバーの評価/育成(4 部)と、幅広く経営管理について書かれている。
自分としてはミーティングの指針が示されている 2 部が参考になった。

  • 知識共有情報交換が目的のプロセス中心のミーティング/意思決定が目的の使命中心のミーティングがあることを知る
  • ワンオンワンはプロセス中心のミーティング。チームの生産性を上げるためにメンバーの課題を汲み取る場
  • 使命中心のミーティングは議長の課題・ゴール設定がすべて
  • ミーティングによってテコの原理が働いて、アウトプットに大きな効果が出るかを意識する。

などなど。あと、別の章だけど、マネジャーが成功するかしないかについて、マネジャー自身のスキルよりも習熟度が重要だ、というのは目からウロコだった。

マネジャーの個人的成熟度は変わらないが、環境、内容、タスクなど、すべてが新しいことだったので、新しい仕事での彼のタスク習熟度が極端に低くなったということなのである。やがて対応するすべを覚え、そのTRM(タスク関連習熟度)は次第に増加していった。それとともに、成績は前に発揮していた傑出したレベル、つまり、そのゆえに彼を昇格させたレベルにもどり始めた。こういうことは完全に予測できたはずであるが、にもかかわらずわれわれは驚いた。われわれはマネジャーの一般的有能度とそのタスク習熟度とを混同していたのである。

アンドリュー・S・グローブ. HIGH OUTPUT MANAGEMENT (Japanese Edition) (Kindle Locations 3172-3177). Kindle Edition.

この引用はマネジャーの習熟度について指摘しているけど、メンバーの習熟度もチームの生産性に影響すると後半で述べられている。 つまり、チームの習熟度合いでマネジメントスタイルを変えることが重要なんだということ。世の中にはいろんなマネジャー論があるけど、そのどれもが正しくて、けどチームの状況は見極めなきゃいけないんですね。

今夜、すべてのバーで

なんのきっかけかは忘れたんだけど、中島らもって破天荒な生き方してたよなぁと思い出して読んでみた。面白かった。本人が中毒者で、この本も実体験に基づいて書かれているそうなんだけど、その割には批判的な視点(愛される感じではない)で主人公が描かれていて、これが破滅願望というやつなんだろうかと思った。

アル中になるのは、酒を「道具」として考える人間だ。おれもまさにそうだった。この世からどこか別の所へ運ばれていくためのツール、薬理としてのアルコールを選んだ人間がアル中になる。

中島らも. 今夜、すべてのバーで (Japanese Edition) (Kindle Locations 535-537). Kindle Edition.

「...卑怯な手口なのよ。思い出になっちゃえば、もう傷つくことも、人から笑われるような失敗をすることもない。思い出になって、人を支配しようとしているんだわ」「それが、死人のやり口ってわけだな」

Another

年始にちょっとしたミステリーが読んでみたいと思って見つけた本。地方の閉鎖的な街でおきる陰惨な出来事みたいな本が好きで、特に"屍鬼"が好きなんだけど、蓋を開けてみたらもっと爽やかな感じだった。 前半思わせぶりな友人たちの振る舞いや、何が起こってるんだ?という感覚は結構良くて気になってどんどん読んでしまった。

見た映画

IT 2

IT が恐怖あり少年少女の青春ありでめちゃくちゃ良かったので期待しながら見た。やっぱりおっさんおばさんになっちゃうと甘酸っぱい要素がなくなっちゃったけど、キャラクターと筋立ては丁寧に描かれていて映画にうまく入り込めた。

飛行機の中で見たので恐怖感が 1/10 以下になってしまったのが残念!!!

Inside Bill's Brain: Decoding Bill Gates

www.netflix.com

ビル・ゲイツが立ち上げた財団でどんな課題に取り組んでいるか紹介したドキュメンタリー。
財団のプロパガンダ的な部分もあるけど、どうしてその課題に取り組もうと考えついたのか思考を decode していく展開は面白い。天才の日常とか興味ある人間なので、ビル・ゲイツの日々の生活とか垣間見れるのは良かった。